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真夜中の来訪者

怖い話の中には、伝播性を強く持っている話があります。「この話の内容を見たり聞いたりした者の元にやってきます」という但し書きと、魔除けの呪文がセットになっている類の怖い話です。これらの話はいったいどこから来たものなのでしょうか?

話を介して現れるもの

世間に出回っている怖い話の中には、話を聞いたり文章にしたものを読んだりするだけでその話に登場する怪異がやってくると言われるものが幾つか存在しています。話そのものを媒介にして聞き手の元に訪れるというこの性質は、怖い話としての怖さをより高めているだけでなく聞き手を体験者に変える力をも持っているのです。




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訪問するものの定型とは

基本的に、聞き手の元を訪れるものを呼ぶ話には一つの定型があります。それは「寝静まった深夜に窓やドアをノックするものが現れ、窓やドアを開けて訪問者の姿を見た者は命を落とす」というものです。訪問者自体は、様々な姿や名前が知られていますが基本的な性質はほぼ共通項となっています。

真夜中に現れる訪問者

それでは、どのような存在が話を通して聞き手の元に現れるのでしょうか?

オカムロさん

オカムロさんは話を聞いた人の元に現れ、窓をコンコンとノックし続ける存在です。オカムロさんに帰ってもらうには「オカムロさん、オカムロさんお帰りください」と窓の方を見ないようにして唱える必要があります。

ババサレ

ババサレもオカムロさんの類型で、やはり窓をノックして自分の存在を聞き手に知らせます。「婆去れ」が転じた「ババサレ、ババサレ」を唱えることで帰っていきます。

サッちゃん

有名な童謡「サッちゃん」には、知られていない四番があり四番の歌詞を知ったり歌ったりするとサッちゃんが真夜中にやってくるという話が存在しています。サッちゃんの大好物であるバナナを枕元に用意しておくと難を逃れることが出来るといわれています。

カシマさん

戦後に広まった、訪問者の話の先駆け的存在です。その話を聞いたものの夢の中に現れ、「足いるか」と聞いてくるので、必ず「いる」と答えなければなりません。「誰から聞いた」と聞かれたら「カシマさんから聞いた」と答える必要があります。

各種チェーンメール

インターネットの普及によって電子メールが一般化したこともあり。チェーンメールと言う形で訪問者が現れる話が配信されるようになっています。しかし、この手のメールは沢山の人間の元に送られることを目的としているため、話自体の信憑性は非常に薄くなっている上に、難を逃れる術が「○日以内に○人の元に同じ文面のメールを送らなければならない」以外にないので無視してしまってもかまわないでしょう。

なぜ話を聞くだけで現れるのか

では、なぜこの類の話は「聞き手の元を訪れる」という性質を持っているのでしょうか?

怖い話の目的から考察する

怖い話は、非日常的な体験談を通して恐怖を味わうことが出来る話題であると言えます。基本的に怖い話は、恐怖を最小限のリスクで味わうことが出来る手段です。怖い話のリスクとはすなわち、「語り手・聞き手が体験者になること」です。怖い話は話数を重ねることで怪異を呼ぶこともありますが、節度を持って行えば怖い話のリスクは低減します。逆に言えば、「訪問者が来る話」は非常にリスクが高い怖い話ということになります。

拡散が目的の話なのか?

「訪問者が来る話」の性質は「聞いた者、読んだ者の元にやってくる」というものです。既存の怖い話を語ったり書いたりするためには、その話を人づてに知る必要があります。つまり、この話を広めようとする人は全て「話の中の訪問者が尋ねてくる」というリスクを背負うことになります。リスクを背負った語り手にしても、「自分だけが体験するのは癪だからみんなにも体験させよう」という気持ちが働くのは容易に想像できます。つまり、この話の目的は「無差別に訪問者を送りこむこと」なのではなく、「話を広めること」なのではないでしょうか?

「訪問者の話」は現実になろうとしている?

「嘘も100回言えば真実になる」という言葉があります。これは、プロパガンダの真髄として語られた言葉なのですが、怖い話にも適用することが出来ます。怖い話も100回以上語り続けられていけば変化していきます。その変化の過程で、現実になる話があってもおかしくないのです。要するに、「人に聞いた怖い話と同じ体験をした」という人が一人でも出てくれば、「怖い話」は「本当にあった実話」となるのです。これらの「訪問者の話」は、そういった実験を目的に広められている……というのは突飛な発想でしょうか。


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